損する可能性大!?出産&不妊治療費をサポートする保険『シュシュ』の注意点

健康

出産&不妊治療をサポートする保険商品が誕生

保険業界で初めて、出産や不妊治療にかかるお金をサポートする商品が日本生命から発売されました。

その名も『ChouChou(シュシュ)』

不妊治療や出産は、原則が自由診療(保険適用外)だったため、患者さんにかかる高額な医療費が問題視されてきました。

出産に関しては自治体が発行するクーポンで大部分の費用をまかなえるようにはなりましたが、それでも“0円”とはいかず、出産後にかかるお金のことも考えて先行き不安に陥る人も少なくないと思います。

また、不妊治療(体外受精や顕微受精などの高度生殖補助医療)も、1回の治療にかかる金額が数十万円と超高額です。自治体の助成金制度もありますが回数制限が6回までと厳しいので、こちらも金銭的な理由から治療に踏み切れなかったり、治療を断念してしまったりという人が多いのも実情です。

そこで誕生したのが『シュシュ』。
果たしてこの商品は、悩める女性たちを救う希望となるのか、徹底検証していきたいと思います。

『シュシュ』の特徴

『シュシュ』は出産や不妊治療にかかるお金をサポートしてくれるだけではなく、三大疾病保証も手厚いプランとなっています。

①がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中になった際、保険金300万円を一時金で受け取れる
※急性心筋梗塞・脳卒中になった場合は、「60日以上労働の制限を必要とする状態が継続したと診断された」または「治療のための手術」が保険金受け取りの条件となります。
※三大疾病保険金を受け取った場合、保険契約は消滅となるので、以降その他の保証や満期時の一時金を受けることはできません。

②がん(上皮内新生物等)になった場合、保険金30万円を一時金として受け取れる
※この場合は保険契約は消滅せず、その後も保証や満期時の一時金を受け取ることができます

③死亡時には死亡保険300万円を一時金で受け取れる
※3大疾病保険金と死亡保険金は、いずれか一方のみのお支払いとなります。

④出産給付金を受け取れる

⑤特定不妊治療給付金を受け取れる

さらに、契約満了時に生存していた場合、満期一時金(10年契約→100万円、15年契約→150万円、20年契約→200万円)を受け取ることができます。

保険料と契約期間

『シュシュ』の契約期間は10年・15年・20年の3種類

しかし、30歳までは10年・15年・20年のいずれかから契約期間を選ぶことができますが、35歳では10年または15年、40歳の場合は10年プランでしか契約できません
つまり、何歳で加入しても50歳の時には満期を迎えるようなプランとなっています。

そして気になる保険料ですが、
25歳(20年契約)→10,086円/月
30歳(20年契約)→10,233円/月
35歳(15年契約)→10,518円/月
40歳(10年契約)→10,869円/月
となり、何歳で加入しても保険料がほぼ変わらない!というのは大きな特徴ですよね。
そして、月々1万円ちょっとという保険料もかなり格安な気がします。

妊活や出産のタイミングは予測できませんから、何歳でも加入しやすい保険料というのは女性のライフプランをよく理解してくれているなあ、と感じます。

出産給付金について

ではここからは『シュシュ』の特徴である、「出産給付金」と「特定不妊治療給付金」につてい説明します。

「出産給付金」は出産のたびに受け取ることができます。

給付回数に制限はなく
1人目→10万円
2人目→30万円
3人目→50万円
4人目→70万円
5人目以降→100万円
が受け取れます。

もし双子だった場合、2回出産したという計算になり、2回分の給付金を併せて受け取ることができますが、流産や死産の場合は受け取ることができません

とっても嬉しい「出産給付金」ですが、保険加入から1年間は不担保期間となるので、契約2年目以降の出産から給付金の支給対象となります。

特定不妊治療給付金について

ついに登場してくれたか!という印象の「特定不妊治療給付金」ですが、対象となるのは体外受精と顕微受精での採卵&胚移植なので、タイミング法や人工授精で不妊治療を行っている人は貰えません。

給付回数は12回と、自治体の助成金支給回数(6回)よりもかなり多いですが、残念ながら貰えるお金はあまり多くはありません

1回目〜6回目→1回につき5万円
7回目〜12回目→1回につき10万円
が給付されます。

1回の体外受精にかかる費用は30万円から100万円とも言われています。5万円貰えるだけでもありがたいのは間違いありませんが、“期待したほど”というのが正直な感想です。

また、「特定不妊治療給付金」は保険加入から2年間が不担保期間となりますので、注意が必要です。

『シュシュ』のメリット

では、『シュシュ』加入のメリットをまとめてご紹介します。

①妊娠中・不妊治療中でも入れる

『シュシュ』は、一般的な保険と違い、妊娠中や不妊治療中の人でも入ることができます
前述のように、出産給付金は1年間、特定不妊治療給付金は2年間の不担保期間がありますが、「加入できるだけでありがたい」と感じる人も多いかもしれません。

②クレジットカード払い可

『シュシュ』は保険料をクレジットカード払いすることができるので、保険料を支払いながらクレジットカードでポイントを貯めることができます。

年間12万円ちょっとの支払いですから、“塵も積もれば山となる”で、かなりのポイントを貯めることができますよね。

③所得税控除が受けられる

『シュシュ』も他の保険商品と同じく、所得税控除を受けることができます。

『シュシュ』のデメリット

①満期時の一時金は掛け金を必ず下回る

契約満了時にもらうことができる満期一時金ですが、これは掛け金を必ず下回ります。

10年契約の場合:掛け金総額120万円→満期一時金100万円(20万円のマイナス)
15年契約の場合:掛け金総額180万円→満期一時金150万円(30万円のマイナス)
20年契約の場合:掛け金総額240万円→満期一時金200万円(40万円のマイナス)

となります。
しかも、加入中に「出産給付金」や「特定不妊治療給付金」を受け取った場合、その分が満期一時金から差し引かれてしまうので注意しなければなりません。

②得をするのはかなり厳しい条件

そもそも保険商品は安心を買っているものなので、得をするという考え方自体がセコイのかもしれませんが…(笑)

『シュシュ』で掛け金以上の保証を受けようと思うと、最低でも以下のようなかなり厳しい条件を満たす必要があります。

契約期間 支払総額 得をする条件 得した場合の
給付金総額
10年 120万円 4人出産 160万円
不妊治療6回+3人出産 120万円
不妊治療12回+2人出産 130万円
がん(上皮内心生物等)になる 130万円
がん(悪性新生物と診断される 300万円
15年 180万円 5人出産 260万円
不妊治療4回+4人出産 180万円
不妊治療12回+3人出産 180万円
がん(上皮内心生物等)になる 130万円
がん(悪性新生物と診断される 300万円
20年 240万円 5人出産 260万円
不妊治療12回+4人出産 250万円
がん(悪性新生物と診断される 300万円

と、こんな具合です。

契約期間に関わらず受けられる保証や回数は同じなので、契約期間が長くなるほど、得をするのは至難の技となります。

どちらかというと、出産や不妊治療をサポートする保険というよりは、“3大疾病保険にオマケが付く”と考えた方が納得できるプラン設計ですよね。

しかし『シュシュ』の場合、何歳で契約しても50歳の時には満期を迎えて契約が終了してしまいます。正直な話、50歳までに3大疾病にかかるかかる確率はかなり低い気が…。

しかも、50歳からまた別の保険に入り直すとなると、それこそ保険料はかなり高額になってしまいます。

というわけで『シュシュ』は、出産&不妊治療サポート保険としても、3大疾病保険としても中途半端というかなんというか…。

かなりガッカリです。

今後、もっと利用者が安心して一生を任せられるプランが作られることを願っています。

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